第4話

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立ち上がろうとして、 床に転けたようだ。 勉強デスクのイスが転がってる。 「麻美? 寝てなきゃ。 どこか痛い?」 抱き上げると、 「トイレに行きたいの… 歩けない。」 顔の左半分が倍ほど腫れてる… 眠る前よりも酷くなってるんだ。 「うん。 解ったよ…」 本当に、病院には行かないといけない。 瞼は切れて、目の上に覆い被さってるし、 視力だってこのままにして置いて酷いことにならないとも限らないんだ。 病気って言ったな… あの刑事。 絶対ないとは言えないんだ。 こんな事をしてる奴らだから。 抱き上げて、トイレに連れて行く。 「もう大丈夫。 1人でできる…」 トイレのドアを閉めて、 前で待った… いろんな事が頭の中で浮かび上がる。 HIVとか。 妊娠とか。 これからの事とか、 昨日、死にたいと言ったこととか。 涙が出そうになるのを堪えるために、 ジーンズの上から太股を抓る。 泣きたいのは麻美の方なのに、 麻美はそんな顔はしないで居るというのに。 「毅… ママ…呼んで…?」 トイレから声が聞こえて、 どうしたのかと、不安になる。 「解ったよ。 待ってて。」 階段を降りようとすると、途中で両親が様子を伺ってた。 そりゃ、心配だよな… 「お母さんを呼んでくれって。 今トイレです。」 どうかしたのか…?
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