story 亜夢

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久しぶりの屋上、あの日以来 来ていなかった……と言うより特別に用事がない。 バタン…… 開かれたそこを見詰めるアムの後ろで扉が閉まる…… 「なぁ、ちょっといいか?」 銀次が袋を持った手を伸ばし、指を指す 「あぁ、」 このままじゃいけないのは解っていても、視線を逸らした。 銀次が向かう屋上の上の貯水槽に、落ち着かない自分を静めながら続いた。 「よっと…」 貯水槽に凭れながら袋を開けてジュースを飲む銀次 「座って?」 立ち竦むアムに向かって隣を顎で刺す 「ぁ、あぁ…」 いや、ちょっと… 何か、すげぇ落ち着いてるんだけど 何で? やけに穏やかな銀次の隣に膝を山にして座った。 その膝の少しだけ擦れたズボンの山に集中する あ、穴 空きそう…… その擦れた膝を撫でて誤魔化す なるべくなら聞きたくない でも、事実なら…… それでも…… うじうじと悩むアムの隣、 落ち着き払った銀次がそれを眺め弛んだ口を引き締める 「アム、この前ごめん」 「……ぅん」 来てしまった。 聞かずしてどうにかならないかと思っていたが…… 視線をズボンに向けたまま硬直する。 「告白、嘘じゃない」 「……」 嫌、嘘でしょ? つーか、嘘と言ってくれ…… そしたら、あの出来事だって悪い悪戯で済ませるから、喧嘩だって無かった事に出来るから 「好きだから…」 無かった事にしようとするアムの横 パンを片手に銀次が笑う。 何、笑ってんだよ…… 突っ込みたいけど、言えずに口を尖らせ 2つ揃った山の間に顔を埋めた。
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