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私は王女だ。だが、狭苦しい世界が嫌で城を抜け出してきた。
もう三日間も飲まず食わずだ。何の考えもなしに若さにまかせ飛び出したのが悪かった。
もはや私はへとへとだ。
今、私は灼熱の砂漠をさまよっている。
ああ、水が飲みたい。ご飯が食べたい。
16歳になったばかりのぴちぴちの私にはやはり無理があったのか。
そんな時、空に海鳥が飛んでいるのが見えた。
「なぜこんな所に海鳥が……?」
戸惑っていると海鳥がこちらに向かって降りてきた。
ドスーン。
激しい衝撃音と共に海鳥は私の目の前に降り立った。
「おいどうしたんだい?」
海鳥が喋った。
呆気にとられていると、「ああ、そういえば海鳥の姿だった」と海鳥が喋った。
直後、海鳥の体がもくもくと煙を上げる。
ドロンという音と共に海鳥は小奇麗な格好をした杖を持った女へと変化をした。
「あ、あなたは?」
私が聞くとその杖を持った女は言った。
「私はこの大陸一の魔法使いだ。君は一体誰だ?」
「私ですか? 私はこの大陸の王女です」
「な、何と王女様ですか」
魔法使いは驚いた表情をした後、私の手をとりそっと口付けをした。
「王女様が一体なぜこんな所にいるんですか?」
「それが閉鎖的な城が嫌になって家出をしたんです。しくしく」
「そうですか。それでこの後どうするつもりなんですか?」
「この後、行く当ては私にはないの……。私が馬鹿だったわ。何の考えもなしに家を飛び出してしまうなんて。私は今まで城の色々な方に守られて生きてきていたのね」
私は自分の未熟さやおろかさに初めて気づいた。
「じゃあ、城に戻ればいいじゃありませんか」
魔法使いが言った。
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