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「だめなの。もうだめなのよ。一旦城を抜け出した私はもう王女ではなくなったわ。もう私には帰る場所なんてどこにもないのよ」
「そうですか」
「そ、そうだ。魔法使いさん。魔法を使って私を再び王女に戻すことはできないかしら。大陸一の魔法使いである魔法使いさんなら可能じゃないのかしら。もし私を再び王女に戻してくれるのなら何でもするわ」
「出来ることならそうしたいのですが、今の私にはそれは不可能なのです」
「な、何でよ。どうして不可能なのよ」
「私の魔力がほとんど魔物によって封じられたからです」
「でも、あなたは海鳥に変身して空まで飛んでいたわ」
「そうです。だけどあれが最後の力だったのです。実は私はあなたの前に降りたのではなくて、力尽きて降りた所の目の前に王女であるあなたがいたのです」
「そ、そんな……。そんなのってないわ。大体なんであなたはこんな所を飛んでいたのよ」
「実は私はダンジョンに向かっていたのです」
「ダンジョン?」
「ええ。実は魔物によって魔力を封じられた私ですがそれを解く秘密のアイテムがそのダンジョンにあると知り、そのダンジョンに向かっている途中だったのです」
「そ、そうなんだ。じゃ、じゃあそのダンジョンで秘密のアイテムを手に入れればあなたの魔力も封印が解かれ魔法が完全に使えるようになるのね」
「そうです」
「じゃあ、私もダンジョンに同行するわ。あなたの手助けがしたいの。そして魔法が完全に使えるようになったら私を再び王女へと戻してくれないかしら」
「分かりました」
魔法使いは頷いた。
「ところでその秘密のアイテムって一体何なのかしら」
「そのアイテムとは古代より眠ると言われている黄金の三角木馬です」
「黄金の三角木馬? 分かったわ。それを探せばいいのね」
こうして私達は古代の黄金の三角木馬を探しに旅に出るのであった。
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