第8話

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《気になるあの子はsadako》 とある日の職場にて、こんな話が持ち上がった。 「私この前さぁ。初めて貞子なるものを見ちゃったのよ」 発言者は50代女性の同僚職員。 貞子とは例の白いワンピースを着た、長い黒髪のあの人。 50年間無縁だったジャパニーズホラーの代名詞である貞子と、なぜ今ごろになってコンタクトを取ってしまったのか。 つらつら話を聞いてみると、どうやらなぜかホラーの苦手な旦那様が友人にDVD を貸してもらい(押し付けられ…とも言う)、 「一人で映画とか寂しすぎるだろ」 という、ある種 「怖いから一緒に見てくれ」 という言葉と同義の遠回しな表現を経て、一緒に観る羽目になってしまったらしい。 「ねぇ、観たことある?貞子。」 ワタシに投げ掛けるそのフレーズだけ切り取ると、何だか 「貞子=見ると幸せになれる、近所で評判の名物キャラ」 のようにも聞こえるが、そう問われてワタシはハタと気がついた。
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