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恥ずかしがりやで気弱な恭子は高校一年。なのに初めてのバイトは、有名焼肉店。
その店では、お客からオーダーを受けると、
「よろこんでっ」
と、満面の笑みで対応するのが売りだ。
「よっ、よよよ、よ」
恭子は、がっくり肩を落とす。お客にはクスクス笑われ、耳たぶまで真っ赤っか。
「なあに、練習すれば言えるようになるさ、どんな時にも喜んでお客様を迎える気持ちになると大丈夫だからね」
そう言って恭子の肩を、ポンと叩いて優しく勇気づける。
恭子は、店長の指導の効果もあって、従業員の誰よりも大きな声で、喜んでと言えるようになった。
高校を卒業した恭子は、冠婚葬祭センターに就職した。最初の仕事は、葬儀の受付。恭子は、焼肉屋の店長の言葉を思い出し、あの言葉をシーンとした館内に響かせた。
了
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