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両親が離婚したのは、高1の、2月の終わりだった。
俺の父親は、美容院チェーンの社長だったのだが、
若い女が出来て、その女との子供ができたとか言って、
俺と俺の母親を捨てたのだ。
俺は学費の高い、私立の名門高校に通っていたのだが、学費が払えないので、4月から、夜間の定時制高校に転校する手続きをした。
そして、学費と生活費を稼ぐため、俺は、川崎駅の近くのファッションビルにある、10代~20代向けの、洋服屋で働き始めた。
由緒正しいお嬢様育ちの俺の母親は、離婚で、急にお金がない生活になってしまったのが耐えられず、次第に酒に溺れるようになった。
朝、目が覚めて、目を開ける前、俺は一瞬だけ、願う。
今いるこの場所が、前に住んでいた、大きな白い家の、自分の部屋であることを。
俺がフカフカのベッドで目を開けると、真っ白の天井に貼られた、
グラビアアイドルのポスターが目に飛び込んでくる。
今現在、俺が横になっているのは、カビくさいペラペラの布団で、目を開けて飛び込んでくる景色は、狭いボロアパートの染みだらけの天井だ。
前の家に住んでいた頃、俺は、ポスターのグラビアアイドル似の彼女と付き合っていた。
家が貧乏になった途端、彼女と連絡が取れなくなったということは、俺は彼女にフラれたのだろう。
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