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「わかった。そのときは、真っ先にテルの名前を思いだすよ」  クニがいう。 「おれだって、危うく撃たれるところだった。こっちのことも忘れんなよ」 「ああ、ありがとう、クニ」  腕組みをして壁にもたれているジョージに声をかけた。 「ここまで判明している事実をまとめてくれないか。戦況の分析はジョージが一番だ」  明るい茶色の髪を両手でかきあげて、学年1位が語り始めた。 「模擬戦のフィールドには2台の狙撃ロボットが巧妙にカモフラージュされ設置されていた。五王(ごおう)重工の最新型で、遠隔操作で攻撃対象を選別し射撃する。対人地雷のように無差別ではないから、より人道的だとして世界中の戦線で導入が進んでいる兵器だ」  クニがつぶやく。 「くそっ、なんでそんなものがただの養成高校にもちこまれんだよ」
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