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「遠隔操作の電波は学外から検知された。この高校では対スパイ戦の電子機器が整備されている。ここから20キロほど離れた山中の道路から、狙撃ロボットを操作していたようだ。たぶんミニヴァンに2名の射手と2組のコントローラーを積んでいたのだろう。ということはかなりの財力と最新の兵器と熟練した兵士を用意できる強力な勢力の仕業(しざわ)ということになる」  クニがちらりと周囲を見まわして、小声でいった。 「トリニティか?」  自由と平等と平和をスローガンに掲げる秘密結社だった。スローガンに反して強力な戦力を有している。 「わからない。進駐官内部の組織かもしれないし、もしかしたら軍並みの力をもつ五王重工という線もある。あるいは傭兵(ようへい)上がりの殺し屋の仕事かもしれない」  クニがいった。 「なんだよ、それ、スパイ小説じゃないんだぞ」
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