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 月岡教官に連れていかれたのは、貴賓用の会議室だった。楕円形のテーブルは長径が15メートルほどあり、ぐるりと囲むのは黒革張りの贅沢(ぜいたく)な椅子(いす)30脚だった。 「入りなさい」  紺の制服の男が立っていた。背が高く、ひどくやせている。とがった鼻は剃刀(かみそり)のように鋭かった。肩にも胸にも階級章がない。一般人だろうか。  タツオとジョージと同じように席につこうとした月岡教官に男が声をかけた。 「あなたは席をはずしてください」  左手の義手の先の指で、こつこつと軽くテーブルを叩きながら教官はいった。 「狩野校長から生徒の事情聴取に立ち会い、話をきいてくるように命令を受けている。この子たちを守るためにも、この部屋を出るわけにはいかない」  紺の制服の男が気の毒そうにうっすらと笑った。
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