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 五十嵐を見送ったあと、いつもの4人は宿舎の部屋に集合した。タツオが招集をかけたのだ。 「なんだよ、話って」  普段は軽いクニが不機嫌そうにいった。クラスメートを殺され、怒りに駆(か)られているのだ。 「この高校はどこかがおかしい。おおきな陰謀が渦(うず)を巻いてるみたいだ。春の狙撃事件に、夜間行軍訓練の襲撃、それに今回の狙撃事件。今までは高校側に真相究明と捜査をまかせておけばいいと、ぼくは思っていた。ぼくたちはただの進駐官候補生で、まだ1年生に過ぎない」  タツオは順番に3人の顔を見つめた。 「だけど、とうとう犠牲者が出てしまった。もうぼくの周囲にいる人間を傷つけたくないんだ。ぼくたちの手で犯人を見つけだし、正当な裁きを受けさせよう。五十嵐くんのことは、なんといったらいいのか……」  下段のベッドに腰かけたテルが、うつむいて絞(しぼ)りだすようにいった。
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