終わりは始まり

8/37
前へ
/104ページ
次へ
謝ってから直ぐに手を差し伸べるとその手は思いの外ガシリと強い力で握られた。俺が何か声を掛ける前に 「一條様ぁ!僕はもうあのクラスでやっていけませんッ」 と涙を流しながら嗚咽混じりで話してくる相手の顔をやっと確認できた俺は 「どおしたんだ。まだ登校初日だぞ柳」 と言いながら、俺の親衛隊長である柳の頭を優しく撫でた。それから持っていたタオルを柳に投げると慌てて柳はそれを受け取った。 「先ずはそのすげぇ顔をどうにかしないとな。終わったら俺の部屋に来な」 とその言葉を聞いて柳が涙を拭いていた手を止めた。何か誤解していることに気が付いた俺は直ぐに 「その顔は冷やした方が良いし、ここじゃゆっくりも出来ないし話しにくいだろ」 と経緯を伝えると少し残念そうな顔をしながら頷いた。 この際何を期待してたか何かは考えない方向にしよう
/104ページ

最初のコメントを投稿しよう!

279人が本棚に入れています
本棚に追加