終わりは始まり

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そうと決まれば未だに尻餅をついたままの柳の手を引っ張り立たせるとまだ教室に居た西城と大原に向かって 「午後の授業は出ないが生徒会室には行くから。それと大原は遅刻するなよ、じゃ」 と言って去ろうとした俺の背に向かって鬼塚が何か言う声が聞こえたがスルーする。 この頃鬼塚に対してのスルースキル半端ないなと、俺はちょっと楽しく感じて微笑むと一歩後ろに着いてきていた柳が 「一條様と鬼塚様は本当に、仲睦まじいですね」 と変なことを言ってきたがその顔が可愛かったから許した。 暫くして自分の部屋につくと胸ポケットからカードキーを取り出し扉を開けた。 玄関にはやはりあいつの靴があった。 「(少しごたついて遅くなっちゃったからな)……柳、少しここで待っていてくれないか?」 と聞くと文句もなにも言わず柳は静かに頷いた。 「偉い偉い」 それにスキンシップでまた頭を撫でると一瞬にして柳の顔が真っ赤に染まった。
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