第2話 姉の遺産

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 教えられた病院は俺のアパートから軽く1時間はかかるところだから、早く出発したいのに。  思うように動けない。  姉とは、数日前に会ったばかりだった。  脳裏に浮かんでは消えていく姿。  高校で再会する前は、俺は孤独な人間だと腹をくくっていたはずだったが、一度会ってしまうとそんな想いはいとも簡単に破られてしまった。  今、俺にヒタヒタと忍び寄ってくるのは、”また独りになる”恐怖だ。  自転車で病院に向かう。
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