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「ただいま~!もう疲れたよぉ~……」
部活を終えて帰宅した流奈がリビングのドアを開けた途端、ソファから長く突出した2本の長い足が視界に飛び込んできた。
「ちょっと!そんなに足が出ていたら邪魔でしょ!帰ってくるなり頭にくるなぁ、もうっ~!」
パンパンに膨らんだスクールバッグをどすんと床に落とした流奈は、ガクラン姿のまま熟睡している男子中学生の両足をまたぐと、呆れ顔でにらみつけた。
「陸!!起きなさーいっ!!」
かなりの大声で叫んだはずだが、成長期の男子中学生はぴくりともしない。
流奈はゆっくりと息を吸い込み、幸せそうに眠り続けている弟にぼそっと言い放った。
「あ~大変!オンラインゲームがおかしなことになってるよ~!」
その途端、弟の陸は大きく目を見開いた。だが、なぜ自分の姉がセーラー服姿で自分を見下ろしているのかは、まだ把握できてはいない様子である。
「……いつの間にか寝てた……」
「もう!あんたはいつもそうでしょ!いつまでも制服着てないで、さっさと着替えてきなさいよ!」
「うん……わかった……」
そう言いながら再び目をつむりかけた陸の学ランを強引に引っ張って上半身を起こした流奈は、大きくため息をついた。
(絶対わかってない、こいつ……)
ソファの背もたれに無理やり座らされたばかりの陸の目はすでに閉じていて、かすかにいびきが聞こえてきた。
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