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行きたかった場所
あの日、美優にプロポーズして、今度ちゃんと渡すって言ったまま渡せていなかった指輪。
どうしてもそれを渡したいんだ。
だからここへ来た。
目の前に並ぶ沢山の指輪のなかで、1つだけ目を惹くものがあった。
それはとてもシンプルで、余計な飾りなんかなにもなくて・・・
もうそれしか目に入らなかった。
何も飾りが無いからこそ、新しくそこから始まる感じがして欲しくなった。
美優の指は、ここのところ毎日さわっていたからわかる。
サイズなんか聞かなくたってわかるんだ。
出来上がるのにどれくらいかかるのだろう・・・
と思っていたのに・・・
「今日は比較的空いておりますので、2時間後にお待ちしております。」
と言われた。
ハッキリ言って拍子抜け。
表がシンプルだからこそ、裏に文字を刻みたかったんだ。
2人だけが見ることに出来る場所に。。。
これは、婚約指輪でも結婚指輪でもない。
それよりももっともっと大切な、当てはまる言葉のない指輪。
眠れる俺の姫
目覚めてくれ・・・
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