- この想い 君に届け -

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--------------- 病室に入ると、やはり眠ったままの美優。 俺はそっと手を握った。 そして・・・ 聞こえていないのなんかわかっているのに、美優への気持ちを話し続けた。 こいつ、言葉にしないとわからないとこあるし・・・ すぐ不安になる奴だから・・・ だから話したんだ。 すれ違っていた時を埋めるかのように、洗いざらい全部。 そして・・・ その左手の薬指に そっと指輪を はめた・・・ でもやっぱり美優にはなんの変化もなくて・・・ ただ・・・手を握っていることしか出来なかった。 手を繋いだまま・・・ 美優を見ていたはずなのに・・・ 全部話した俺は そのまま眠りに落ちていた。 『諒?』 そう呼ばれた気がして ハッ! とした。 でも美優にはなにも変化がなくて、寝ていた自分に気がついただけだった。 美優・・・ 起きてくれよ・・・ また一緒にご飯食べよう。 あれ作ってよ! 初めて手料理を作ってくれた日のオムレツ にっこりマークのオムレツを・・・ そう思いながら手を握り、美優を見つめていたとき・・・ !! 「美優?」 美優の表情に変化があった。 少し動いた気がしたんだ。 指もピクッと動いた気がして・・・ 俺は何度も呼んだ 「美優! おい美優! 起きろよ! 美優!」 また動かなくなる美優に・・・俺は・・・ 「美優・・・腹減ったよ。なんか作ってよ・・・」 消え入りそうな声で言った。 自分でも何故そんな事を言ったのかはわからない。 でも・・・美優は・・・・ 目を開けたんだ。 項垂れて下を向いていた俺は、美優が目を開けたことに気付いてなかった。 「りょ・・・う」 微かに聞こえたその声にビクッとして顔を向けたら、美優がうっすらと目を開けていた。 「み・・・ゆ?  美優!」 「ん?あれ?わ・・・たし・・・」 俺は慌ててナースコールを押した。 医者と看護師が入ってきた。
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