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もうっ、お好きなだけ笑って下さいまし。
今度こそマンション入り口へ向かおうとしたら、また“七海”と名前を呼ばれ、面倒げにもう一度振り返る。
「好きだよ」
ドキドキするというよりは、面食らった。
「おやすみなさい――っ!!」
どう返していいかわからず、あたしは猛ダッシュで入り口目指してかけた。
今日の服装、ワンピースにパンプスなのに…。
告白を受け入れた途端、和也さんからのこのラブアタック。
どうも調子が狂っちゃう。
でも、胸元にキラっと光ったそれを見て、ふっと口元を緩ませた。
この恋は、熱く情熱的に燃えあがる恋ではない。
ゆっくりと育てていく愛なのだ。
十代の頃とは種類が違う恋愛なのだ、と悟った。
そんなこんなでこの日、あたしは和也さんの妹から彼女という立場になった。
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