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僕がここ、馬路須賀女学園に転校を決めた理由、それは、姉・渡辺麻友を超す存在になるため。僕の姉は、学園唯一の”頭を使う喧嘩”をしていたらしい。でも、僕はそれを超える。超えてみせる。僕には身体能力、知能ともに優れている。中学でも学年トップ、でも僕には友達はいない。なぜって、僕にそういう意思がないからだ。だって、友達なんていたら、足手まといだし、第一、人間はみんな死ぬまで結局一人だ。それをわかっていたのに姉は、青春という名の、くだらないモノに惑わされてしまった。そのせいで姉は、ここでの目標、いや、野望を果たせなかったのだ。 でも僕はそんなへまはしない。そんなことで大切な時間を無駄にしてしまうなら、ここに転校してきた意味がない。
だから僕は、青春とか友情とか、キレイゴトばっかり並べている場所とは違う、ここに来たんだ。
まずは、手始めに1年から潰していくとするか・・・
僕は教室に入るなり、暑苦しい空気が立ち込めてくるのが分かった。どうせ、変な生徒たちばかりだろう、と思っていた。
が、どういうことか、教室にはノートに向かって勉強する生徒が大勢いた。きれいに並べられている机、日程表や行事が書き込まれた紙が貼られている掲示板、どこまでも白く、汚れひとつない教室の壁。教室に入った瞬間の暑苦しさは、気温が高かったせいなのか?とにかく、ここは本当にマジ女なのかと疑ってしまった。
「何をしている、早く席に着きなさい。君の机はここだ。」
僕の机は窓際の一番後ろ。ここなら、ほかのクラスメイト達の様子も見ることができる。席に着くなり、隣の席の人が僕をじっと見ていた。
「何?僕に何か用ですか?」 さっき言ったとおり、僕には友情だの青春だの言っている暇はないのだ。
「・・・私と同じ匂いがする。あなた、名前は・・・?」
は?何言ってるんだコイツ。僕と同じ匂いがする?同類にするな!と言いたいが、転校早々へまを出してはいけない。
「僕の名前は渡辺祐樹(ゆうき)。君は?」
「私はアズキ。本名は本田亜珠(ほんだあず)っていうの。よろしく・・・」
相手は僕に手を差し出したが、僕は一言「よろしく」と返すだけ。
それにしても、この人、ヤンキーには見えない。もしかして、何も知らずにここへ・・・?
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