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とにかく、ここは姉さんが話していた場所とは程遠い気がする。でも、ところどころヤンキーや不良なんかの格好をしている人もいる。やはり、ここはマジ女なのか・・・?頭の中で、なにかが混乱し始める。と、キーンコーン・・・
チャイムが鳴った。
「じゃあ、今日の授業はここまでだ。」
教師が教室を出た瞬間・・・
「なぁ、アンタ転校生だろ?名前は?」
3人の生徒が近づいてきた。
「渡辺・・・祐樹です・・・」
「なぁ、まさかあの”ネズミ”の・・・!」
「そうだよ。僕はネズミって言われていた渡辺麻友の妹だ。それが何か?」
僕は鋭い視線で、相手を睨み返す。
「なっ、なんでもねーよ!!」
3人は血相を変えて、逃げて行った。 馬鹿な連中だ。昔、ここで名前が知れていたという生徒の身内というだけで、すぐに逃げていく。弱すぎる。それより・・・
「・・・君は、ここがどんな高校かわかってここに通ってるの?」
隣の席の『アズキ』とか言ってた生徒に聞いた。
「ぇ・・・・うん、知ってるよ。」
「でも、君喧嘩とかしなさそうじゃん。どうしてここに?」
「・・・家族みんなから言われた。ここに来るくらいなら、予備校に行ってもっといい高校に行きなさいって。でも、私にはここがあってる。というか、ここじゃないといけないんだ。」
「どうして・・・?」
と聞く前に、彼女は教室を出て行った。
きっと、僕と同じように過去に何かあったんだろう。
説明してなかったから、わからないだろうが、僕には記憶障害がある。過去の記憶がないんだ。僕には姉がいて、父も母もなくなってるってことしかわからない。いわゆる記憶喪失だ。姉がいると知ったのは、記憶喪失になって2週間後。両親のことを聞いたのも、その時だ。
だから、もしも彼女が僕と同じような事情を抱えているのなら、あまり深くは入り込まないことにしよう。
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