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宛もなく、ただひたすらに走る
少年が抱き抱えた双子は既に眠りに落ちており、その事に少なからず安堵した少年は、また走り出した
何処でもいい、身を隠せる場所が欲しかった
男から教わった地図に拠れば、この方角には街がある筈だと少年は思いだし、夜道を走った
辿り着いた街はある程度賑わっており、なるべく気配を消して建物の側に腰を下ろした
何時間と酷使した体はとうの昔に限界を迎えていたらしく、少年は疲労と、それ以外で痛む心臓を抑えて目を閉じた
明日になれば、また此処を発たなければならない
少しでも男から逃げなければ
(・・・ドフラミンゴさん・・・・・・)
嘘だと信じたかった
しかし少年がその感情を理解するには知識も経験も足りなかった・・・足りなさ過ぎた
酷く痛む胸に、前触れなく流れた涙
訳が解らなかった
うつ向く少年の頬にぺちり、ぺちりと柔らかく小さな手がぶつけられた
不思議に思って目を開ければ、金の髪を持った赤子が少年の頬を叩いていた
なるほど、感じた衝撃はこれかと少年は納得した
しかし理由が解らず、首をかしげた
「・・・どうしたの・・・?」
「う!」
少々不機嫌そうに語尾を強める赤子に、何故だか励まされたような気がした少年は小さく笑った
赤子もまた、満足そうに笑った
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