4人が本棚に入れています
本棚に追加
ナニかが水分と共に床に落ちた音がした
不思議に思った少年は振り返る
見えたのは男と、先ほど部屋に戻れと言ってきた研究員
しかし研究員の様子が先ほどとは違った
床に倒れている
おそらく先ほどの音は、この研究員が倒れた時の音なのだろう
赤い水溜まりができている
なるほど、水分の正体はこれかと少年は納得した
ではあの赤い水はなんだろう、と首をかしげたところでもう一度、どしゃっ、という音がした
「な、何を・・・!?」
「フッフッフ、さっき言っただろう?
そのガキを寄越せっつったんだ」
また独特の笑い声が響く
震え上がる研究員が、言葉を発せるとは思えない
やっとのことで示した意思表示は首を横に振る、という行為だった
「じゃあ、奪うまでだなァ」
男の口元が、とても愉快そうにつり上がる
そこからは、とても不思議な光景だった
男が手を上げて指を曲げると、周りにいる研究員達が次々に倒れていくのだ
少年は初めて見るその光景に目を奪われた
世界にはこんなにも不思議なことがあるのかと、少年は、何だか胸が熱くなるような感覚を覚えた
どれだけ時間が経過したのか
気付けば研究所の中に立っているのは、少年と男だけであった
最初のコメントを投稿しよう!