魔女ザルムホーファーの逃亡

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ナニかが水分と共に床に落ちた音がした 不思議に思った少年は振り返る 見えたのは男と、先ほど部屋に戻れと言ってきた研究員 しかし研究員の様子が先ほどとは違った 床に倒れている おそらく先ほどの音は、この研究員が倒れた時の音なのだろう 赤い水溜まりができている なるほど、水分の正体はこれかと少年は納得した ではあの赤い水はなんだろう、と首をかしげたところでもう一度、どしゃっ、という音がした 「な、何を・・・!?」 「フッフッフ、さっき言っただろう? そのガキを寄越せっつったんだ」 また独特の笑い声が響く 震え上がる研究員が、言葉を発せるとは思えない やっとのことで示した意思表示は首を横に振る、という行為だった 「じゃあ、奪うまでだなァ」 男の口元が、とても愉快そうにつり上がる そこからは、とても不思議な光景だった 男が手を上げて指を曲げると、周りにいる研究員達が次々に倒れていくのだ 少年は初めて見るその光景に目を奪われた 世界にはこんなにも不思議なことがあるのかと、少年は、何だか胸が熱くなるような感覚を覚えた どれだけ時間が経過したのか 気付けば研究所の中に立っているのは、少年と男だけであった
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