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次に世話になる場所もまた研究所だった
違うことと言えば、前の研究所と比べるまでもなく大きいくらいだった
研究所に入る前に、男は少年に一つだけ約束事をした
「おれが居ない時は外に出るな」
これだけであった
「・・・?
いる時は外に出てもいいの?」
「おめェが望むなら連れてってやるよ」
「ここの中は歩いてもいいの?」
「好きにしな」
限られた世界を生きてきた少年にとって、男の約束事は、もはや約束事ですらなかった
日常生活に何ら支障もない、とても些細な取り決め
男の大きな掌が、少年の頭を柔らかく包んだ
その時ふわりと鉄が錆びたような臭いが鼻腔をくすぐったが、機械に溢れたこの研究所では何ら可笑しくない臭いだと気にも止めなかった
研究員達は、やはり忙しなく動きまわり少年には理解し得ないことをしていた
たまに寄越される視線に多少の居心地の悪さは感じたものの、男が辺りを一瞥すればすぐに視線は霧散した
男が一歩歩を進めるたびに目まぐるしく変化する景色をただただ傍観するのは、なかなかに愉快なことだと少年は小さく笑った
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