魔女ザルムホーファーの逃亡

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一年の歳月が流れた 部屋の中央に並んぶように置かれた、大人一人が簡単に入りそうな程の大きさのガラスケースが2つ それぞれに液体と管、そして小さな塊が一つずつ 男はそれを恍惚の表情で見つめた 「神の種」と書かれた二つの粒は男が研究員たちに作らせた、少年と男の血を引いた子供だった 男は独特の笑い声を響かせる 「フッフッフ・・・! やっとだ、やっと・・・」 もう一度、愛しい我が子達を見つめてから部屋を後にした 男が部屋から姿を消した数分後 少年もまた、この部屋を訪れていた ガラスケースの中、管に繋がれている粒を見上げる少年は、なんとなくこの粒達を気にかけていた 何か、親さを感じていた 「・・・・・・君たちは、俺の・・・なに・・・?」 緩慢な動きでガラスケースに手を付いた少年は、小さな粒達を見て胸の辺りが温かくなるのを感じた 少年は思い出した 自分が、この二つ命と同じように生み出されたことを なるほど、だからこんなにも親さを感じるのかと少年は納得した だからこそ少年は二つの「神の種」を親族のように感じていた (・・・ドフラミンゴさんは、どう思うのかな) 男は少年に世界の事をほとんど教えていた しかし感情は深くは教えていなかった 少年にはその感情の名前など知る由もなかった 無意識の中で、少年もまた男を好いていたのだ それが愛なのか、情なのかはまだ解らない
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