第1話

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学校に戻ることが決まった日の嬉しさは忘れやしない 顔は丸く腫れたまま、髪の毛は短くチリチリのままだったけど 普通に学校に行けることの嬉しさに比べればどうということはなかった しかし待っていたのは明るい未来ではありませんでした 長らくひとりで過ごしていた僕に 人と話すコミュニケーション能力はなかった 話が噛み合わない僕は孤立した 休み時間は窓から外を眺めるしかなかった ある日、女の子が遠くでこういうことを言ったのが聞こえた 窓から外ばかり見てカッコイイと思ってるのかな、マジでキモい その日から窓の外を見るのはやめた 入院中の苦しみに比べれば耐えられないことはなかった これ以上、親に迷惑はかけたくなかったし せめて高校には行きたかった そう思うと、悩むことさえなかった もともと鈍感な性格だったし、周りのことを気にする性格でもなかったことが幸いだった 白血病になり、せっかく治ったのに不登校になる人も多い また再発率も2割程度あり、また病院に逆戻りということもある 1割なんて少ない数字に見えるけど、もしそれが生死をかけるものならばとても大きい数字に見える 事実を知ったときはぞっとした
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