4章

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 大学生活1ヶ月が過ぎた、ある日。  相変わらず変化のない生活を送っていたLeeは、ジャスミンと出会った。 本名は違うが、本人が気に入っている名前なので、みんな呼んでいる。Leeと同じ大学に通う1年生。体の線が細く、お洒落で少し派手なゲイ。  大学の放課後、コンピューター室で2人は出会った。 同級生だが授業が違うので初対面。  Leeはパソコンが得意なので、パソコンを使って課題を調べていた。コンピューター室には他に数人いたが、ばらばらに座っていたので、ジャスミンは一番近くのLeeに話しかけてきたのがきっかけだった。 「ちょっとぉ~、パソコンが動かないの、なぜなの?分かる?もお~、だからパソコン嫌!」 Leeは、自分に話しかけられているとは思わず、辺りを見回したが誰もいない。 「あんたに言っているのよ、鈍感ねえ~」 Leeは驚いて、目を大きく見開いた。 「そうよ、あんたよ。あんた以外に、誰もいないでしょ!もう!!」 ジャスミンは、いらっとした言い方をして、Leeを指差した。 「わたしに、何の用ですか?」 「さっきから言っているじゃあない、パソコンが動かないの!早くしないと、デートに行かれないじゃあないの!!」 ジャスミンは、強い口調になっていった。  Leeは半分聞き取れたが、後半から早く聞き取れていなかった。タイにはゲイやニューハーフが多く、Leeは、ジャスミンの容貌を見ても全く気にならなかった。 しかし、ジャスミンはLeeの反応が普通なので、心の中では驚いていた。 アジアの人には、自分は受け入れてもらえないと思っていたが、それでもLeeに声をかけたのは、夕方からデートに出かけるので、これでもジャスミンにとっては恐る恐る声をかけていた。 「どうして、動かないのですか?」 Leeがジャスミンに聞いたが、まともな答えが返ってくるわけでもなく、Leeはジャスミンが何を言っているのか全く理解出来なかったので、左斜め端にいるジャスミンのパソコンを見に行き、一人状況の説明をしているジャスミンを横目にLeeは原因を突き止めていた。 「ぎゃあ~、全部データなくなったの?」 ジャスミンはデータが消えたと思いパニック状態。
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