4章

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 デューは、ロサンゼルスから離れた小さな都市の警察署長。 しかし容姿は署長らしからぬ風貌。 シワシワのズボンにシワシワのワイシャツ、ワイシャツの袖口をまくり上げタバコを口に加え仕事をしている。 何度かその風貌に上司から注意を受けるが、未だに直らない。 仕事であまり家に帰らない生活を送っているので、Leeが同居するとその風貌は少しは良くなったが、警察署に寝泊りが続くと元の姿に戻ってしまう。 服装に気を使わないが、仕事は優秀。 しかし、私生活がほとんどないので離婚、娘が2人いるが現在全く連絡を取ってないので、アメリカでは珍しく仕事部屋や家には家族の写真がない。 机の上の灰皿には吸い終わったタバコが山積みにされ、いつ置かれたのか分からない資料が色あせ山積み。 床には食べかすやゴミが散乱、机の下には何足もの靴、ソックス、サンダルが転がり、その陰にワイシャツが何枚も積み重ねられ、新しいものか着たのかさえ分からない状態になっているが、その中から気が向いたワイシャツを着ているので、シワシワ。 時々部下が顔を覗かせる程度で、汚くて入りたがらない部屋だが、署長でありながら現場に出掛けるので、部下から厚い信頼がある。  山積みの資料の中には該当の資料がなかったので、デューは部屋を出て2階の麻薬取締課で資料を受け取り、目を通していると、以前若い人達が麻薬所持で捕まっていた。 その資料を部屋に持ち帰り、会場の所有者を突き止めた。 夜遅かったが詳細を聞くため電話をするが、誰も出ない。 頭の髪の毛をぐしゃぐしゃとし考え込んだ。 これが娘を持つ親の気持ちなのかと思いながら、部屋のソファーで眠りについた。  次の日。  部下がデューの部屋をノックする音で目覚めた。 「おはようございます。また、ここに泊まったのですか?何か、事件ですか?」 目覚めたばかりのデューに、部下が質問してくる。 「何でもない」 「昨晩、麻薬取締課に行ったと今朝聞きましたが、何かあったのですか?」 「うるさい」 デューはソファーから立ち上がり、部屋のドアを思いっきり閉めた。 「今朝から機嫌が悪いから、放っておけ」 その様子を見ていた他の部下は、デューの機嫌を気にしていなかった。 よくある事。デューはすぐ熱くなり、突っ走るのを知っているので、部下達はすぐに仕事に戻った。
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