2章

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 2年前、Leeはアメリカの警察官デューの家で、大学生活を送っていた。  デューには妻と2人の娘がいたが、仕事熱心なため離婚、今はLeeの後見人。といっても、家にはあまり帰らず警察署で仕事の為泊まるので、Leeは1軒家で1人暮らしの様な生活。  周りの状況が全く分からないアメリカでの生活に疲れ切り、香港へ1年で帰国。しかし、祖母は諦めなかった。1年間Leeの自由にさせ、再度アメリカに行かせた。2度目の渡米により、Leeの人生は大きく変わっていった。  以前ほとんど会話もなかったデューが、空港に迎えに来ていたのにLeeは驚いた。1年前と変わらずシワシワのワイシャツを着ていた。変わっていたのはLeeに一所懸命話しかけている事。1年間英語を耳にしていないLeeは、理解出来ないまま空港を後にし、1年前に住んでいたデューの家で、再び生活をする事になった。  空港から家まで1時間以上の道のり。 デューはLeeに一生懸命ジェスチャー交じりで話すが、Leeの耳には届いていなかった。Leeの頭の中は、1年前の事で頭が一杯だった。Leeが住むまではデューの家は汚く、Leeが住み始めると綺麗になっていったので、また汚い家に住むのかと不安な気持ちで、デューの家に向かっていた。  デューの家に着き、家のドアを開けると明るい光が差し込んで来た。 「綺麗」  思わず、Leeの口から韓国語が出た。 デューには何語なのかも理解出来ないので、何を言ったのかは分からない。  どうしてLeeの口から、韓国語が出たのか。  アメリカ帰国の一ヶ月前から香港、残りをタイで生活、渡米1週間前に韓国で幼なじみのダニエルの家に滞在し、ダニエルと一緒にアメリカに来ていた。  ダニエルは空港に車を置いて来ていたので、飛行機を降りた後は自分のアパートに帰るため、2人は別行動をしていた。  ダニエルはLeeの幼なじみでもあり、Leeのボディーガードでもあった。デューは知っているが、周りは知らない極秘事項。 ダニエルは先祖代々、Lee一家のボディーガードの仕事を受継いでいるので、Leeとダニエルは同じ境遇で共感し、2人は仲が良い。 ダニエルは、1年前に大学の視察を行うためにアメリカの大学へ入学しており、英語が堪能で運動神経が抜群なので、大学では常に女の子に囲まれた華やかな生活を送っている。
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