1章

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 ダニエルとは昔、何度か一緒に兄と遊んだ間柄なので、すぐに意気投合。ダニエルは体格が良く運動神経万能なので、クラスの人気者になると、Leeは徐々にダニエルと距離を置き、またLeeはふさぎ込んだ。祖母はその様子に打つ手がなく、仕方なくタイへ行く許可を出した。それからは度々タイを訪れ、学校生活も順調に送っていた。  高校3年生になると、同級生達は大学進学や就職の悩みを抱えていたが、Leeはすべて祖母が決めるため周囲の同級生たちの様な悩みはなかった。その代わり大学も祖母が決め、さらに付き合う相手も決められていたが、Leeはタイに行く事だけを考え祖母の指示に従っていた。  Leeが当時付き合っていたのは、香港の警察官で将来有望な人だが、Leeは恋愛に興味がなく、Lee一家と食事をするだけの関係だった。しかし、その警察官が仕事で重大な失敗や将来性がないと祖母が判断すると、新しい相手になっていた。次もまた、警察官。Leeには、どうする事も出来なかった。  Leeは親の死後、遺産を全部引継ぎ巨額な財産を持っていた。周囲に知れると危険なので、普通のアジア人として生活を送りたいLeeは秘密にしている。巨額な金額のため管理人が6人いる。両親の財産管理人の香港の人、Leeが実際に現地を訪れた時に出会ったアフリカの人、タイの人、カンボジアの人、スイスに口座を持っているのでスイス銀行の人、最後の1人は顔も見た事のない知らない人。知っているのは、Leeの祖母のみ。この6人が毎月、財産報告をして不正の有無や使用の内容を確認している。  Leeの財産は、中国の景気と同様に増える一方。香港は英国から返還され、特別区ではあるが中国の一部となり、両親が持っていた株が大幅に値上がり、Leeの財産も増えている。その中で、Leeが唯一財産を使用しているのは支援。アフリカ・タイ・カンボジアに学校や病院を建て、財産管理人達に運営を任せている。Leeは実際に現地に訪れ本当に何が必要かを見極め、必要な物を支援している。現地の人達はLeeの支援を知っているが、Leeが一切何も言わないので、アジア人の一員として扱っている。この事を祖母は快く思っておらず、この支援を打ち切ると言われ、仕方なく2度目の渡米をした。  これが、Leeがアメリカに来た理由。
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