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あの日。
佐藤さんと別れ、
帰るタクシーの中で
私の携帯は震えたのが
事の始まりだった。
勿論、里子には内緒。
まあ、
別に話してもいいけど、
今はまだ時期じゃないから、内緒。
「優子ちゃん、ご飯食べた?」
「いえ、まだです」
「良かった。
俺、お腹ぺこぺこでさー。
近くに良いお店あるんだけど、そこでいい?
それともどこか行きたいお店とかある?」
「いえ、そこで良いです。
私もお腹ぺこぺこなんで
早く行きましょう」
カバンを手に立ち上がると、
伊田さんの腕に自然な感じで腕を絡める。
そんな私に伊田さんは
嬉しそうに笑い
「ああ」と言葉短く答えた。
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