月の駅

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 開いたドアの向こうには、男の人が一人、 座席に座っているのがみえるのでした。 どんな人だか顔は見えません。 でもなんとなく、なつかしい気持ちがするのです。  オサムはその人に話しかけたくなりました。 そろそろと列車に乗り込むと、座席の男性の そばにたちました。 「どこかで会いませんでしたか」  男性はオサムのこえが聞こえないのか、 ふりむかずに窓の外ばかりをみていました。 窓ガラスに映る顔つきは、ひどく悩んでいるような、 切なそうな印象でした。
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