月の駅

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「あの、大変失礼ですが、どこかで…」  オサムは、窓に向いている男性の顔に 近づきました。 その時、何に気づいたのか、オサムは ちょっとおどろいたようでした。 話しかけるのをやめ、そろそろと ゆっくり古い列車を降り、 さっきまで乗っていた夜行列車に 戻りました。  窓を見ながら目を閉じると、 昼間の疲れが出たのか、オサムは すぐに眠りに落ちました。  誰かが通りかかってもわからないくらい、 深く眠ったのでした。  朝の光を受けながら、列車が 東京に着いた時、オサムは 車掌さんに呼び止められました。 「オサムさんですね。 『月の駅』がみえたそうですね」  車掌さんも知っていたことでした。 夢ではなかったのでした。
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