41人が本棚に入れています
本棚に追加
執務室の前に戻るともう雄叫びはなく静かになっていました。きっと本気モードなんでしょう。魔王様の集中を乱さないようにノックや声をかけず、音を鳴らさぬようゆっくりと鍵を開けました
どうせ「これに署名してください」と声かけるから意味ないじゃないか……と皆さんお思いでしょうが、そうではございません。そんな事をすれば魔王様の集中が乱れまくって飛び散りますから
次に手に取る書類の上にソッと置いたら魔王様が自動的にとって署名致します故、後は署名済みの書類が置かれたのを取ってしまえば完了です。声をかけさえしなければ大丈夫
…集中しすぎて私の気配に気づかないのはどうかと思いますが
私は慎重に扉を開けると素早く身をもぐりこませました。そして顔をあげると、とんでもない光景がそこにはありました
いえ、魔王様が一心不乱に書類を片付けているのもとんでもない光景ではありますが…
魔王
「ふははははっ!我が素直にするとでも思うたか!サボるもんねー!側近のバーカバーカ!!オタンコナース!!」
魔王様が光り輝く魔法陣を眺めながら、私に対する悪口を言ってバカみたいに笑っておられました
魔王様、気づかれていないのでしょうが…聞いておりますよ、今
魔王
「ふははっ…さすがの側近も、我が使い魔召喚を利用して消えるとは思っておらぬだろう。奴の悔しがる顔が目に浮かぶわ、あーはっはっはっ!!!」
今の私は冷め切った笑顔を浮かべている事でしょうね
最初のコメントを投稿しよう!