めでぃかる・くりえいたー

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先端が熱を帯びた粘液に触れる。五辻ことり次期助教の身体がつつましく震える。そして、大きな波に飲み込まれて行く。 「はぁっ……」 溜め息のような艶めかしい声音が漏れる。ずぶずぶと自重で一番奥まで沈み込んだ五辻ことり次期助教は、 「大き、すぎ……っ!」 ぎゅうと左手で僕の身体に縋りつつ、びくびくと痙攣しながら締め付けて来た。 「せ、先生……」 「はうっ……、なに、かな?」 「動いても……?」 こんなに苦しそうにしているのに、この上動いてしまったらまともにマウス操作も出来ないのではないか。そんな思考が巡るあたり、 「あれ、もう薬の効果、切れちゃった、のかなぁ……?」 どうやらそういう事らしい。 「惜しかった、なぁ。もう少しで、凄い薬、出来そうだったのに……」 あ。 そうか。そういう事か。 五辻ことり次期助教は今までもこうやって、あの独創的すぎる薬をデザインしていたのだ。こんな犯罪まがいの方法で、おそらくは研究室の学生を襲ってまで着想を得ようとするから、M薬科大を追い出されてしまったのではないか。 「先生、僕は薬なんか無くたって、先生の事が好きです」 「ふぇっ?」 五辻ことり次期助教はきょとんとした表情で僕の顔を見た。 「初めて見た時から、F高校で開かれた特別講義を聞いた時から、先生の全てに一目惚れしていました」 「そんな、うそ……。私、研究のためなら誰とでもする、変態だよ……?」 「これからは僕とだけして下さい」 「自分の中を、レセプターと重ねて、創薬しながらいっちゃう、変態なんだよ?」 「それなら僕も自分のを薬剤分子に見立てて、逝ってみせます」 「ふ、う、なにそれ、ずるいよ……」 きゅうきゅうと、ひときわ締め付けが強くなった。 「いきますよ」 「……思いっきり、お願いっ」 それからはもう、無我夢中だった。 五辻ことり次期助教の中は狭くて、何度も繰り返し逝ってしまったが全然萎えなかった。五辻ことり次期助教は終始全身を痙攣させつつも必死な様子で僕の首にしがみつき、ときおり大きく震えながら僕のシャツに噛みついて、それでもマウスを操作し続けた。 五辻ことり次期助教の新しい薬は、深夜二時を回った頃に完成した。 それから僕たちは研究室のソファで改めて、愛し合った。 この時出来た僕たちの愛の結晶で、五辻ことり次期助教はやがてノーベル医学賞を受賞するのだが、それはまだまだ先のお話。 fin.
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