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◇
「……あ、サク? うん。今ヒマ? ……嘘、どうせ寝とったやろ。うん、そこでええ?……ほな1時間後な」
電話を切ると、俺はカーゴパンツのポケットに携帯を突っ込んだ。
何も考えないで服を選ぶと、爪先からトップスまで全部黒になってしまう。だからストールや鞄なんかは、なるべくビビッドカラーか柄物を選ぶようにしている。
けれども今日は、そういうグッズさえ黒にしたい気分だ。
俺は軽くため息を吐いて、クローゼットにかけてある豹柄のストールを取り、アパートを出た。
コウジさんが亡くなって、ちょうど1か月が経つ。
正直、まだ信じられない。
コウジさんは、半年前に交通事故で左手を負傷し、バンド活動を休止していた。
そのバンドが、復活したばかりだった。
しかも、俺のバンドのライブで復活ライブを行ったんだ。
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