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「おひとり様ですか?」
「いや、あとでもうひとり来ます」
「そのときはお声掛けください。何時間お取りしましょうか」
「フリータイムで」
「機種は」
「いつもの」
と言えば、女の子は「わかりました」と笑った。
受付を済ませると、ドリンクバーでアイスココアを選び、部屋番号の書かれたカードを持って個室に入る。
黒いジャケットと豹柄ストールをハンガーにかけ、赤いソファにどかりと座った。
デンモクを手に取ると、歌手名で迷うことなく「Vacuum」と入力した。
曲リストで表示されているのは、たったの1曲だけ。メジャーでない映画の主題歌になった曲だ。俺はそれを予約した。
マイクを取って立ち上がる。
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