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キサラが見積書を印刷している間に、俺は改めて小橋君を見た。
まだ染めたことのなさそうなサラサラの黒髪、一重まぶたに大きな瞳。あごにはいくつかにきびの痕。
どう見ても年下だと思う。
「小橋君て、高校生?」
ふいに訊ねたからか、小橋君はびくっと身体を震わせたあとで焦ったように答えた。
「そ、そうですけど」
「そんな焦らんでもええやん。敬語も要らんよ。高校生やのに、ようひとりで探偵事務所なんか訪ねてきたな。不安やなかったん?」
「それは……」
「どうやってこの探偵事務所見つけたん?」
「それは、ネットで見つけました。都市伝説やオカルトに詳しい探偵ってあったから」
「やから敬語は要らへんて。てか、ふつうそないなことが書いてある探偵事務所なんか、避けそうやのにな」
あははっと笑うと、キサラが振り向いて睨んできた。
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