第11話 高木春紅編②

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「お邪魔します」  俺はキサラに招かれるままに、なかに入った。  キサラは狭い廊下を抜けて、一番奥の部屋のドアを叩いた。 「小田切さん、入りますよ」 「どうぞ」  キサラはこげ茶色のドアを押した。俺もキサラのあとに続いて部屋のなかに入った。  灰色のカーペットの上にはL字型の赤いソファ。そこには、グレーのパーカーにデニムを穿いた少年が座っている。  少年は俺を見ると、軽く会釈をしてきた。 「こんばんは、高木春紅(たかぎ はるく)君……だね?」  はっとして左手側を見ると、白い壁に面したキッチンの前に長身の男性が立っていた。  短い黒髪に、一重まぶたのスッとした目。鼻筋も通っていて、清潔感溢れるサラリーマンふうの男だ。30代前半くらいか。  服装はスーツではなく、青いチェックのボタンシャツに、インナーは白いTシャツ、それにデニムといったラフなものだけど。 「初めまして、小田切基道(おだぎり もとみち)です」
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