第11話 高木春紅編②

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 小田切さんは隣で首を傾げている俺に視線を移した。 「実は、この小橋君も、コスモポリタンのことで相談に来たんです。わざわざ県外から」 「えっ」  ちらっと小橋君を見た。軽く眉間にシワを寄せて俯いている。 「コスモポリタンというサイト、答えたとおりのことが現実になるアンケート。小橋君のおばあさまと、ご友人がそのアンケートに答えたそうです」  話は、こうだ。  小橋君の祖母は、小橋君の母親からコスモポリタンを紹介された。  祖母はアンケート――ラッキーチャンスに答えて、大切にしていた庭や自分の胸、表情と引き換えに、若い身体、仕事、恋人を手に入れた。  その恋人が、小橋君の親友だったらしい。  祖母は最終的に、不死と引き換えにそれまでの記憶を失ったそうだ。  祖母は小橋君の姉として、新しい人生をスタートさせた。  けれども、ラッキーチャンスで手に入れた仕事については続けて働いていたそうだ。    その仕事というのが、コスモポリタンの事務員だったというのだ。
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