955人が本棚に入れています
本棚に追加
小田切さんは隣で首を傾げている俺に視線を移した。
「実は、この小橋君も、コスモポリタンのことで相談に来たんです。わざわざ県外から」
「えっ」
ちらっと小橋君を見た。軽く眉間にシワを寄せて俯いている。
「コスモポリタンというサイト、答えたとおりのことが現実になるアンケート。小橋君のおばあさまと、ご友人がそのアンケートに答えたそうです」
話は、こうだ。
小橋君の祖母は、小橋君の母親からコスモポリタンを紹介された。
祖母はアンケート――ラッキーチャンスに答えて、大切にしていた庭や自分の胸、表情と引き換えに、若い身体、仕事、恋人を手に入れた。
その恋人が、小橋君の親友だったらしい。
祖母は最終的に、不死と引き換えにそれまでの記憶を失ったそうだ。
祖母は小橋君の姉として、新しい人生をスタートさせた。
けれども、ラッキーチャンスで手に入れた仕事については続けて働いていたそうだ。
その仕事というのが、コスモポリタンの事務員だったというのだ。
最初のコメントを投稿しよう!