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「はっ……っは……」
後ろを振り向いてどのぐらいの距離なのか確かめたいが、恐くて出来ない。
「っ……追っかけて来ないでくれ!」
「はぁはぁ咲夜君の柔らかいところを触らせてくれるなら追っかけないよはぁはぁはぁ」
いつも王子の様な綺麗な顔を恍惚とした笑顔に変え、だが獲物を狙うような目で、息を荒くしながら奴は私を追って来る。
王子フェイスが私を見ると豹変して、それが恐ろしくてたまらない。
私は私の調子を狂わされるのが苦手だ!
だから変態なんて嫌なんだ!!
変態を見ると、恐怖で余裕を失い、冷静でいられなくなる。
「っほんとうに……」
頼むから……っ私に関わるな……!
――だが、私の願いも虚しく、無我夢中で走っていたため片足がもう片足に引っ掛かり、転びそうになる。
確実に来るであろう衝撃に耐えるために目を強く瞑った。
「……」
しかし衝撃は受けず、腰が何かに拘束され、頬が堅いものに押し付けられた。
これは……胸板……?
おそるおそる目を開きながら顔を上げていくと、アメジストの瞳が間近で私を見つめていた。
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