第一章  カニは危険ですよね

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 犯人のネカマちゃんは足が速かった。ゴメ巡査も速いが、さすがにハイヒールでは犯人を追跡することは出来なかった。  息を切らしたゴメ巡査の横を、男が通った。  「き、君・・・待ちたまえ・・・名前は?」  「ん?俺ぁルメルだけど・・・ポリが俺に何か用か?あ?」  ルメルはメンチきりながらゴメ巡査に迫った。  「今向こうで女性がカニで刺されて犯人がこっちに逃走したんだ」      「あ?そういや松葉ガニ持った奴が向こうに走っていったぜ?犯人逮捕しろよな」  「いや、違うんだ・・・君は勘違いをしている・・・私は、もう犯人を追わない・・・追えないんだ・・・私のハイヒールはもう限界なんだ・・・」      「だからなんだよ・・・」
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