夜行性だよね

2/3
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
「あら? 猿鍬くーんじゃないかーい。猿鍬龍くんじゃんかー」  少女こと片倉十月は、モンスターから逃げ回っている猿鍬龍に話しかけた。  廃墟の壁越しに。 「やあ。……てか何してるの?」 「だって」  猿鍬は役職が死神故、日没まではモンスターや悪魔からは逃げ回ることしかできないのだ。 「だってじゃないよ……、そいつ無害だよ? うざいけども」  片倉はあきれぎみにそう言い、逃げ回っているだけの猿鍬の頭に手を置いた。 「まあもうすぐ日没だし?」  頭の上に置いた手を下ろし、片倉は日没を待つ。 「……」 「死神くんもさー、剣士とかガンナーとかだったらはやかったのにねー。討伐面倒いでしょー」  片倉同様に黙って日没を待つ猿鍬に片倉は言った。  言い切った直後、日は沈んだ。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!