5人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
「あら? 猿鍬くーんじゃないかーい。猿鍬龍くんじゃんかー」
少女こと片倉十月は、モンスターから逃げ回っている猿鍬龍に話しかけた。
廃墟の壁越しに。
「やあ。……てか何してるの?」
「だって」
猿鍬は役職が死神故、日没まではモンスターや悪魔からは逃げ回ることしかできないのだ。
「だってじゃないよ……、そいつ無害だよ? うざいけども」
片倉はあきれぎみにそう言い、逃げ回っているだけの猿鍬の頭に手を置いた。
「まあもうすぐ日没だし?」
頭の上に置いた手を下ろし、片倉は日没を待つ。
「……」
「死神くんもさー、剣士とかガンナーとかだったらはやかったのにねー。討伐面倒いでしょー」
片倉同様に黙って日没を待つ猿鍬に片倉は言った。
言い切った直後、日は沈んだ。
最初のコメントを投稿しよう!