212人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
おでこをくっつけながら、しばらくの間は、そのままでいた。
ふと、奏がおでこを離し、真剣な眼差しで私を見つめた。
「俺、これから先、なにがあってもあやかを守る。」
「うん。」
「絶対にもう、離さないから覚悟しとけよ?」
「私だって、離さないんだから。」
一瞬驚いた顔をした奏だが、すぐに微笑みきつく私を抱きしめた。
私も、奏に応えるように背中に手をまわして、抱きしめ返す。
私たちは、時間の許す限り、ずっと抱きしめあった。
指先から二十センチという、もどかしい距離はもう、私たちの間にはなくなっていた。
<完>
最初のコメントを投稿しよう!