第1話

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俺達は仕事が済むと、次の街へと移動する。つまり実質家がないのと一緒だ。家はある。だがいまは帰れない。 気がつくと街灯の数が極端に少なくなってきた。辺りを深い闇が包み、紫色の霧が広がっている。 障気の発生源が近くにあると濃度が濃くなり紫色にある。これに長時間当てられると、意識が怪異に蝕ばまれたり、憑かれたりするので危険だ。 「かなり近いようだけど、やはり土地神の力は感じないよ」 「手遅れか、くそっ、面倒なことになりそうだな」 土地神は文字どおり、その土地の神様である。この土地神が、悪霊や怪異の浸食によって、その力が失われていくことがある。本来土地神の力はとても強く、浸食されることは殆どないが、イレギュラーの出現や発生等により、浸食されるケースがある。今回もそのケースだろう。 「早いとこなんとかしないとこの街は壊滅だ。原因となった祟り場を探すとしよう」
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