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頭が真っ白になりそうな、嬉しくも何ともない言葉が聞こえてくる。
「一目見た瞬間から…」
なんて、一目惚れ宣言された上での告白から始まり
「最初はツバサくんが好きだったんですが…」
2人目には、イケメンと話すうちに俺に目が行くようになったと言われ
「怖い人だなぁ、というのが最初の印象で…」
3人目には、思ってたイメージと違うギャップが的な事
そんなどうでもいい話を永遠と聞かされ、イライラし始めた時くらいに…肉ダルマからの
「僕を踏んで罵って下さい!」
という言葉で、恐ろしいくらいに強烈な目眩(めまい)がした。
出来ることなら今すぐこの肉ダルマを丸焼きにしたいくらいの感情が湧き上がってくる。
そして最後は、白髪。
「始めて出会ったのは、戦闘祭の時でしたね。同じグループにならないかと誘われて…」
と、懐かしむ様にして話し始めた白髪。
「戦闘祭で苦戦していた私に、俺が居るから安心しろ、と…言ってくださったのを覚えていますか?」
その言葉が、とても嬉しかったと話す白髪は、優しい笑顔を浮かべている。
ただのドジな女だと思っていた白髪が…目が見えないのだと気付いた時
仕方が無いから少し手を貸してやった。
その時の話。
「アレストリアへ一緒に買い物へ行った時に貰ったこのブレスレットは…私の宝物です」
毎日付けているのは知っていた。
買い物に着いて来てもらった礼に、と渡したブレスレット。
それをキュッと握りしめながら、俯いて話す白髪は緊張しているのか…
耳まで真っ赤だ。
「いつから、好意を寄せていたのかは分かりません。ですが…気が付けばサトーさんの事ばかり考えるようになっていました」
そう言って顔を上げた白髪は、しっかりと目を見ようと、俺の顔を見る。
気持ちだけだが。
実際は目が見えていないから、眉辺りに視線が行っているが。
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