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正直、戦闘祭で話した時から…こいつにはイケメンよりも優しく接しているのは確かだ。
他の人間から、白髪に気があるんじゃないかと言われても、納得出来る程に。
俺だって自覚はしている。
でも俺は…魔王を倒せば地球に戻る約束をしている。
ここで付き合ったとしても、すぐに離れ離れになってしまうなら…
お互い、このままの状態の方が…傷は浅く済むはずだ。
それが俺の答え。
「ごめん。気持ちには答えられない」
その言葉に、分かってました。と涙目になりながらも、笑って見せる白髪。
フったのは俺のはずなのに…俺の心もズキズキと痛む。
観客からは、白髪に向けての励ましの言葉と…俺に向けての罵倒が飛び交う。
うるせぇな。分かってんだよ…俺が酷い事をしてるってのは。
そうして終わった告白イベント。
舞台から降りた瞬間、ポロポロと静かに涙を流す白髪の肩を抱き、中庭へと移動した。
次のイベントは全員参加。
だから全員がグラウンドに集まっている為、数々のイルミネーションで幻想的に光る中庭には、もう誰も居ない。
「ここなら、誰にも見られないから」
中庭の1番奥、そこには大きな木がある。ここにある他の木の何倍も大きく、何倍も光る木。
そこの幹にもたれかかり、2人で座った。
「すみません…迷惑をかけてしまって…」
「そんなこと思ってねぇよ。悪いのは俺だ…泣かせて、ごめん」
大粒の涙を流す白髪に、悪いと思いながら…泣き顔すらも綺麗だと思う俺は、重症だ。
俺が、ここの世界の住人だったら。
そんな、考えても仕方のない事を考えてしまう程に…俺も気持ちが安定していないらしい。
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