神聖祭

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「私、諦めませんよ…」 目元を指で拭いながら、そう呟いた白髪。 俺はその言葉に返事をすることはなく…ただただ白髪の背を撫でることしか出来なかった。 「この気持ちがサトーさんの負担になっても…絶対に、諦めません」 「……それでも、俺はお前の気持ちには答えられない」 この世界から居なくなるんだ。 心の中で…また、ごめんと呟いて…白髪が泣き止むのを待った。 静かなこの空間で、その場を照らす光はとても幻想的な風景に思える。 天使が舞い降りるとは、良く言ったもんだ…本当にそうだと錯覚してしまう程に綺麗に灯っている。 俺の中の天使像が完璧なものであれば、の話だけど。 それから何分経っただろうか。 白髪を抱き寄せて、そっと頭を撫でながら…イルミネーションをずっと見ていた。 俺は、白髪に惹かれている。 その気持ちは確かだ。 だけど、この世界から居なくなった時に悲しむ白髪を想えば…付き合うことは出来ない。 今諦めた方が…きっと、白髪の傷は浅くなるだろう。 そして、俺の悲しみも。 だから今、こうやって泣かしてしまったのは申し訳ないが、少しずつでも忘れてくれたら。 そう思ったんだ。 「好き。好きです…サトーさん」 呟きながら、白髪の涙は枯れることなく流れていく。 その度に心が痛んだけど…俺が答える事は1度も無かった。 グラウンドの騒音が、段々と静かになっていく。 イベントとやらが終わったんだろう。 もうすぐ、この中庭にもたくさんの人間がやってくる。
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