神聖祭

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神聖祭1日目のイベントは全て終わったらしく…もうすぐ閉会式が始まるらしい。 その事を伝える司会の声を遠くに聞きながら、白髪に手を差し伸べる。 「そろそろ戻るか」 「そうですね…」 ありがとうございます、とお礼を言って手を取る白髪は、少し目が腫れている。 目をゴシゴシと擦って、無理やり泣き止んだ白髪。 腕に力を入れて、立ち上がらせようと引っ張ると… 「えい」 と、逆に引っ張られた。 しかも、何を思ったのか…身体強化をして。 それはもう、軽く引っ張られるとかの威力じゃない。 凄まじい勢いだ。 「何してんだお前…」 「フられた仕返しです」 白髪の目の前に膝をつく形で倒れた俺の顔は、吐息がかかる程の距離。 …いいから行くぞ、ともう1度立ち上がろうとすれば 肩を掴まれ 「…………!?」 キス、された。 「私、諦めませんから。それだけは絶対に忘れないでくださいね」 さっきまで泣いてたくせに、今度は満面の笑みで俺をギュッと抱きしめた白髪は 俺を置いて、1人で立ち去ってしまった。 「おい、嘘だろ…」 心の声が聞こえなかった。咄嗟にした行動だったんだろう。 だから…何の抵抗も出来なかった。 顔に熱が集まるのが嫌でも分かる。 「良かった…誰も居なくて」 こんなの見られたら、ただの笑い者じゃねえかよ。 はぁ…と、顔に手を当ててため息を吐いた俺は、今…どんな顔をしているんだろう。 恥ずかしすぎて死ねるかも。
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