13985人が本棚に入れています
本棚に追加
/845ページ
で、ベリアルが居るって事は
「やぁ。久しぶりだね」
サリエルも居るってことで。
銀色の短い髪、目には包帯を巻いていて…その特徴的な風貌は忘れたくても忘れられない。
白髪をギュッと抱きしめ、無魔法で身体強化をした俺はギロリとサリエルを睨みつける。
こいつの能力は、鍵。
どれだけ強力な結界を貼っても、その能力を使えば難なく通ることが出来る。
そして、心の扉でさえも。
「ふーん…美味しそうな子だね。肉も柔らかそう」
「ひっ…」
小さく悲鳴を上げた白髪は、その言葉が自分に向けられたものだと知って震えた。
小刻みに震える白髪の頭を優しく撫でて、大丈夫だと声をかける。
「人につけ込むのが仕事でもある悪魔を敵にするのを分かってて、弱味を作ったの?」
「何しに来た」
「無視?ま、いいけど。今日はちょっとした挨拶をしに来ただけだよ」
淡々と、表情の無いサリエルは冷たい殺気を放った。
その殺気は結界内を一瞬で静かにする程のもの。
さっきまで、混乱で満ちていた国民が…サリエルの殺気に当てられて気絶したのだ。
そこで立っていられたのは、王国騎士団と帝、花守。そして、王様。
「来ると思っておったわ」
重々しく、低い声を上げた王はどこか余裕を感じさせる。
その言葉に振り向いたサリエルは、王の顔を見て少し口元を上げた。
「何十年ぶり?やっぱ人間は歳を取るのが早いね…あんた死臭がするよ」
「老い先短いのは分かっておる」
水帝、闇帝が王の両隣に立ち…言葉を発することなく殺気をむき出しにしている。
頼むからまだ暴れるなよ。
こいつらが本格的に戦い始めたら、ここでぶっ倒れてる人間が確実に巻き込まれるから。
魔法が当たれば、抵抗することなく木っ端微塵になるだろう。
最初のコメントを投稿しよう!