神聖祭2日目。

6/29
13985人が本棚に入れています
本棚に追加
/845ページ
で、ベリアルが居るって事は 「やぁ。久しぶりだね」 サリエルも居るってことで。 銀色の短い髪、目には包帯を巻いていて…その特徴的な風貌は忘れたくても忘れられない。 白髪をギュッと抱きしめ、無魔法で身体強化をした俺はギロリとサリエルを睨みつける。 こいつの能力は、鍵。 どれだけ強力な結界を貼っても、その能力を使えば難なく通ることが出来る。 そして、心の扉でさえも。 「ふーん…美味しそうな子だね。肉も柔らかそう」 「ひっ…」 小さく悲鳴を上げた白髪は、その言葉が自分に向けられたものだと知って震えた。 小刻みに震える白髪の頭を優しく撫でて、大丈夫だと声をかける。 「人につけ込むのが仕事でもある悪魔を敵にするのを分かってて、弱味を作ったの?」 「何しに来た」 「無視?ま、いいけど。今日はちょっとした挨拶をしに来ただけだよ」 淡々と、表情の無いサリエルは冷たい殺気を放った。 その殺気は結界内を一瞬で静かにする程のもの。 さっきまで、混乱で満ちていた国民が…サリエルの殺気に当てられて気絶したのだ。 そこで立っていられたのは、王国騎士団と帝、花守。そして、王様。 「来ると思っておったわ」 重々しく、低い声を上げた王はどこか余裕を感じさせる。 その言葉に振り向いたサリエルは、王の顔を見て少し口元を上げた。 「何十年ぶり?やっぱ人間は歳を取るのが早いね…あんた死臭がするよ」 「老い先短いのは分かっておる」 水帝、闇帝が王の両隣に立ち…言葉を発することなく殺気をむき出しにしている。 頼むからまだ暴れるなよ。 こいつらが本格的に戦い始めたら、ここでぶっ倒れてる人間が確実に巻き込まれるから。 魔法が当たれば、抵抗することなく木っ端微塵になるだろう。
/845ページ

最初のコメントを投稿しよう!