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アビーが次に目を付けたのは、禁忌魔法だった。
禁忌魔法の研究者も、数多く居たが…アビーはこの魔法でさえも使いこなそうとした。
禁忌魔法が禁忌と言われる所以は、その対価にある。
人の命を奪うもの、自身の何かを奪うもの、それは人間として外れている行為だと思われたからだ。
この魔法を人間へ伝えたのは、言うまでもなく堕天使である。
人間界に平穏が訪れたその後…堕天使は地獄へと人間を引きずり込む悪魔になった。
人間を惑わすものだと。
人間には必ず闇がある。そこに漬け込み、悪事を働くのが悪魔だった。
その悪魔が使う魔法が、禁忌魔法。
魔王と戦ったあの時、多くの同族を奪った魔法。
それを使おうとするアビーを、パーシーは当然止めた。
だが、止められなかった。
アビーが、パーシーの前から姿を消したのだ。
パーシーの耳に入ったのは、数多くの禁忌魔法を使い、たくさんの人間を殺したアビーの情報。
アビーの栄光は一瞬で消え去り…代わりに犯罪者として名が知れ渡った。
禁忌魔法によって、視力を失い、聴力を失い、声を失い、表情を失った。
それでも、アビーの知りたいことは何1つ知れなかった。
逃げ惑いながら、他人と自身を犠牲にしても、何も…知れなかった。
まだ知らぬ魔法の種類、人間にも使える能力があるのかを。
パーシーはアビーを探した。たとえ罪人であったとしても、友を想うその心から。
禁忌魔法で命を落とすその前に、一言でもいいから言葉を交わしたいという願いから。
だが、やっとの事で探し当てた彼を見つけた時には…もう遅かった。
彼は、最大の禁忌魔法を使っていたのだ。
多くの同族を殺した、悪魔を呼び出す魔法を。
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